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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第4章 傘爺
双子だから、一緒に嘘つき呼ばわりされたらどうしよう。でもどっちにしても、詠士が騒げばきっと自分の方にもいろんな人が押しかけてくるんだろうなあ。
 と、その光景を思い浮かべながら、詩織は閉まりかけていた扉をすり抜ける。エレベーターの前はナースステーションになっており、なんとなく隠れるようにして小走りでその脇を駆けた。
 それから自販機やテーブルのあるエリアを横目に廊下を進めば、すぐにいくつもの病室が並ぶ通りに出る。病室の扉はどこも開いていて、向かって右側の真ん中の扉──その横の手すりに、あのボロ傘が引っ掛けられていた。まるで内側から隠すように、扉からほんの少しだけ、距離を置いて。
「詠士……」
「大丈夫。病院に出る幽霊はたくさんいるけど、病院に行く幽霊なんかいないって!」
「そういうもの?」
いまいち腑に落ちない詩織だったが、電車ごっこのように傘の先を掴まれて、詠士に引っ張られるようにして病室へと連れ去られる。
 目的の病室はそれから数秒──ブレーキをかけるみたいにピタッと停まった詠士に合わせて足を停め病室の中を見れば、一番奥の窓際のベッドの側に、傘爺は──いた。
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