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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第4章 傘爺
「いけない──そういえばさっき、夕焼け小焼けが鳴ったんだった。遅くなるといけないから、もう帰りなさい。お母さんやお父さんも、心配するよ」
「あ……はい。じゃあ……」
──さようなら。
しかしそれを告げようとした瞬間に、
「それから」
さっきよりも強い口調でおじいさんに言葉を遮られて、詩織はびくっと肩を震わせる。
 病院のロビーの明かりを背に佇むおじいさんは影になり、今にもその光の口に食べられてしまいそうだった。そのずんぐりとした、影が喋る。
「いいかい。これだけはよく聞いておきなさい。まずお家に着くまで……君達のお母さんと話すまで、絶対に後ろを振り向いてはいけないよ」
「え?」
「それから、来たときと同じように、帰りなさい。道が分からなくなったら、その傘を倒すといい。わかるかな。傘を閉じて、まっすぐ地面に立てて、手を放す。傘が倒れた方の道を選んで、進むんだ。そうすればきっと、あのもう一つの傘まで辿り着ける。君達はきっと、強い縁で繋がっているだろうから」
「……?」
「そして、その飴は絶対に食べてはいけないよ。ああいや……もしも君達が無事にお家に帰ることができて、お母さんやお父さんに見せることができたら、食べてもいい。歩き食いや買い食いは、きっと怒られてしまうだろうから。それまでは、ポッケにでも入れておきなさい」
「……」
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