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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第4章 傘爺
 橙色の屋根。白とベージュの壁に、レンガのタイルがところどころ張られていて、植物の形をした黒の窓枠もおしゃれ。郵便屋さんの帽子とポーチを身に着けた、小鳥の留まるポストも可愛い。春からは植木のお花もいっぱい咲いて、その間からウサギやリスの置物が顔を覗かせる。ちょっとだけ色が剥げたり、詠士がこかして取れちゃったところもあるけど、お気に入り。
 お庭は小さかったけど、楽しい思い出はもういっぱいあった。ビニールプールで騒ぎ、花火に感動した夏。バーベキューや焼き芋を堪能した秋。
 お家は全部お母さんの好みで、お父さんは最初少し恥ずかしいって思っていたらしい。でも、今はすごく好きだと教えてくれた。
 玄関先で傘の雫をばさばさと払い落とし、服や髪の毛をぎゅっと握って水をしぼる。
 ドアを開ければ、何かお料理の匂いがした。
「うー、寒い。ただいまぁー」
「おかーさーん! 濡れたー! お腹すいたー!」
 ──お帰りなさーい。寒かったでしょー。
 学校に行く日の中で、一番ほっとする瞬間。いつもと変わらない明るい声で、お母さんが迎えてくれる。次に待っていたのはお説教とお風呂だったが、お父さんが帰ってくる頃にはほかほかのご飯もできあがっていて、また湯船でふざけあっていた詠士と詩織もほかほかになっていた。
 いただきます、から始まる大切な時間。
「聞いて聞いて! 今日さ──」
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