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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第4章 傘爺
二人の子供達は、まだ少し大きく見えるランドセルを背負っている。娘の頃と違い、今はランドセルの色も増えたと聞く。若草色と、優しい蜜柑色。何故か双生児、という言葉が頭に浮かんで、あの二人は同い年の姉弟なのだと勝手に納得する。
女性警官の横には白い箱の乗った自転車が立てられており、警邏(けいら)の途中だったのだろうが、近所の交番にあんな女性警官がいただろうかと記憶を辿ってみても、見覚えがない。
彼女らの周りには、薄い黄色、オレンジの光の粒が群れをなし、何だか景色もふうわりとしている。今日は、晴れたのか。そんなに天気の良い日だったのか。目に見える庭の木や塀もほのかに色付き、何だかとても温かそうな光で包まれていた。
いや──そんなことより、あの子達は。
いつか、どこかで見たことがある。なかっただろうか? まだ妻が、生きていた頃。違う。まだこの家が美しく、庭や花瓶の花が咲いていた頃。まだ私が、家族に対して怠惰だった頃。まだ、私が……。
……まだ、私が?
ふと、蜜柑色のランドセルを背負った少女と、目が合う。
「──あたし、どうしてもココを見てみたくて……ねえお巡りさん、このお家はいつからあるの?」
「ここねぇ……」
女性警官は、少女達の目線に合わせるように腰をかがめる。
女性警官の横には白い箱の乗った自転車が立てられており、警邏(けいら)の途中だったのだろうが、近所の交番にあんな女性警官がいただろうかと記憶を辿ってみても、見覚えがない。
彼女らの周りには、薄い黄色、オレンジの光の粒が群れをなし、何だか景色もふうわりとしている。今日は、晴れたのか。そんなに天気の良い日だったのか。目に見える庭の木や塀もほのかに色付き、何だかとても温かそうな光で包まれていた。
いや──そんなことより、あの子達は。
いつか、どこかで見たことがある。なかっただろうか? まだ妻が、生きていた頃。違う。まだこの家が美しく、庭や花瓶の花が咲いていた頃。まだ私が、家族に対して怠惰だった頃。まだ、私が……。
……まだ、私が?
ふと、蜜柑色のランドセルを背負った少女と、目が合う。
「──あたし、どうしてもココを見てみたくて……ねえお巡りさん、このお家はいつからあるの?」
「ここねぇ……」
女性警官は、少女達の目線に合わせるように腰をかがめる。