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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第4章 傘爺
「お姉さんね、お母さんも亡くなったお祖父ちゃんもお巡りさんだったんだけど……お祖父ちゃんから、一度だけ聞いたことあるの」
「お姉さんの、おじいちゃん?」
「うん。お姉さんがみんなくらいの年に、幽霊屋敷って学校で噂になってね。それをお家で話したら、お姉さんお祖父ちゃんにすっごい怒られちゃった。嘘の噂はたくさんの人を不幸にするし、大事なものを見失って、最後は自分も苦しくなるから、って。
その時は、なんでそんなに怒るんだろうって思ったんだけど……とにかく、ご主人がずっとこのお家を手放さなくて、でもそのご主人もご病気で亡くなられて。後を管理する人もだんだんいなくなっちゃって、そのままになってるんだって」
「そんなに昔?」
「そうねぇ。通われてた病院も、お母さんがお巡りさんになった年に移転して、今は立体駐車場になってるらしいし……いろいろ、変わっちゃうくらいにはね。もう崩壊しかけてて危ないから、こうして人が入れないようにロープや柵が張られてるのよ。だからむやみに近付いたり、勝手に入ったらダメ。怪我したら大変だからね」
「はい」
少女が頷くのと同時に、時報の音楽が鳴り始める。子供に帰宅を促す、夕方の音。
「お姉さんの、おじいちゃん?」
「うん。お姉さんがみんなくらいの年に、幽霊屋敷って学校で噂になってね。それをお家で話したら、お姉さんお祖父ちゃんにすっごい怒られちゃった。嘘の噂はたくさんの人を不幸にするし、大事なものを見失って、最後は自分も苦しくなるから、って。
その時は、なんでそんなに怒るんだろうって思ったんだけど……とにかく、ご主人がずっとこのお家を手放さなくて、でもそのご主人もご病気で亡くなられて。後を管理する人もだんだんいなくなっちゃって、そのままになってるんだって」
「そんなに昔?」
「そうねぇ。通われてた病院も、お母さんがお巡りさんになった年に移転して、今は立体駐車場になってるらしいし……いろいろ、変わっちゃうくらいにはね。もう崩壊しかけてて危ないから、こうして人が入れないようにロープや柵が張られてるのよ。だからむやみに近付いたり、勝手に入ったらダメ。怪我したら大変だからね」
「はい」
少女が頷くのと同時に、時報の音楽が鳴り始める。子供に帰宅を促す、夕方の音。