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恋いろ神代記~神語の細~
第5章 真雪
ああ、うう、と。ひどく柔らかく重い枷が、また手を伸ばして澪の薄衣をつかむ。母と、目に見慣れぬ季節を何度も見比べる。
 あまりに不思議がられるので、悪戯心をこめて伍名が丸い頬をくすぐれば、枷は動きをぴたりと止めて──笑った。
 その声に、澪は苦々しさを眉の形に変えてさらに続ける。
「……お帰りください。あなた様ともあろうお方が、女心をわからぬものでもないでしょう……」
どさりと、屋根の上の雪が落ちる。
「……きっと、玉衣も同じです。咲き分けの花は、色を違えたとて根は自分と同じ。同じだから共に互いを引き立て、華やかに、そして艶やかに咲き誇ることができるのです。同じだから──よりいっそう、自分をより良く見せようと咲き誇るのです。でなければ、目にも入れない。気にも留めない。女が女に嫉妬を覚え道を誤るのは……相手が、せいぜい自分と同じ程度の女だからでございましょう。なのに、自分だけ満たされなくて……足りなくて。
……私と玉衣は、いわば魂の双子。その片割れに果たせなかったことが、どうしてもう一方の片割れに務められましょう。いいえ、仮に私がそれを受け入れたとしても、玉衣はそれを絶対に許しません。共に咲いた私だからこそ、わかるのです」
「ならば玉衣と──神依も同じだ」
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