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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第1章 初髪、初鏡
「こうき? こうしん?」
「お気に入りってこと。巫女なら奥さんの代わりだし、神事でも隣にいてもらうけど」
「え、無理です!」
「……いくら日嗣がいるからって、即答も傷付く……」
「あ、いえ」
わざとらしく畳にしなだれる初瀬に、神依は慌てて両手を横に振る。
「神事と仰ったので、何か難しいことをしないと駄目なのかなって」
「あ、そういうこと。夜も追い出されて昼も嫌とか、危うく泣きそうになっちゃったよ」
それでけろっとした様子で起き上がった初瀬は、まるで遊びに出掛ける子のようにひらひらと袖を振って続けた。
「別に難しいことじゃないよ、座ってるだけ。あとは常に僕の側に侍って、美味しいお酒やご飯をいの一番に味わえばいい。舞も音楽も特等席で思う存分楽しんで、勝負事も勝てば手を叩いて喜んで、負ければもう一回をねだればいい。料理もきっとお使いがてら、禊君が君の好物を御厨(みくりや)に伝えてるよ~。祝い料理や酒も降ろされるし、それが許される禊は年にたった一人だから」
「だから福男なんですね。でもお料理がいただけるなら、童も喜ぶかな」
「そうだねぇ、沢山貰えるみたいだから、みんなでいっぱい、一年分の幸せを貯め込むといいよ」
「……ありがとうございます」
「お気に入りってこと。巫女なら奥さんの代わりだし、神事でも隣にいてもらうけど」
「え、無理です!」
「……いくら日嗣がいるからって、即答も傷付く……」
「あ、いえ」
わざとらしく畳にしなだれる初瀬に、神依は慌てて両手を横に振る。
「神事と仰ったので、何か難しいことをしないと駄目なのかなって」
「あ、そういうこと。夜も追い出されて昼も嫌とか、危うく泣きそうになっちゃったよ」
それでけろっとした様子で起き上がった初瀬は、まるで遊びに出掛ける子のようにひらひらと袖を振って続けた。
「別に難しいことじゃないよ、座ってるだけ。あとは常に僕の側に侍って、美味しいお酒やご飯をいの一番に味わえばいい。舞も音楽も特等席で思う存分楽しんで、勝負事も勝てば手を叩いて喜んで、負ければもう一回をねだればいい。料理もきっとお使いがてら、禊君が君の好物を御厨(みくりや)に伝えてるよ~。祝い料理や酒も降ろされるし、それが許される禊は年にたった一人だから」
「だから福男なんですね。でもお料理がいただけるなら、童も喜ぶかな」
「そうだねぇ、沢山貰えるみたいだから、みんなでいっぱい、一年分の幸せを貯め込むといいよ」
「……ありがとうございます」