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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第2章 桂楫
 そして、それはそのうち心の方にも重くのしかかってくる。
「──あいつの巫女、祟られてんだよ」
「進貢にも出てない。花と蜂が……怖いんだって」
いわばムラ社会でもある淡島は、そういう話が広まるのも早い。童の中でもそれが広まると、今まで仲が良かった者達からも何となく距離を置かれてしまうようになった。
 祟りとは穢れの淀でもある。穢れは高天原、淡島ともに忌み嫌われる概念であるから……仕方ないと言えば仕方ないのだが、孤独は更に気を滅入らせる。仕事の合間に出るまかないも、時を置かず一人で食べるようになっていた。
 「──ん」
「……え?」
「いいから早く受け取れよ。他の奴に見られんだろ」
そんな時、密かに声を掛けてくれたのが、その──まだ階級すら持たない一人の童だった。
 そういう童達はこちらに来て日が浅いか禊から声が掛からない者で、一日の大半を匠の元で過ごし生きていくための技を学び、また細やかな労働力となる他は読み書きや計算の勉強をこなし、宿舎にて共同生活を送っている。あまりに関わりが無かったその童の言葉に、九ノ弟はぽかんとしたまま差し出された小さな紙包みを受け取った。開けてみれば、中身は色とりどりの干菓子の欠片。
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