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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第2章 桂楫
 (あの雛は……、いつもああだ)
噂に耳を傾ければ、雛はもうこちらに来て随分になるようだった。今までも何度か禊と過ごしたらしいが、結局どの禊とも折り合いが合わず、また──他の童からも疎まれている。
 ただその理由も、注意して見ていれば……多分、いろいろなことが一生懸命過ぎるからなのだと分かる。
 仕事も進んで匠に関わりに行くし、完璧に覚えてこなしたがる。それをごますりのように言う者もいたし、そういう他の童との揉め事も多いが、それは本人が真面目すぎたり、正義感が強い故……な気がする。
 例えば今のように、苛められている者がいれば自ら立ちはだかって、報復に貶められても匠達には言い訳の一つもしない。
(……下手くそだなあ)
そう。総じて、生き方が下手なのだ。適当に遣り過ごすところは遣り過ごせばいいのに、それができないでいる。だから仲間外れにされたり悪口を叩かれたり、童の中ではまるで損な役回りになってしまっている。
 結局その時も、雛は匠達が駆け付けるまでに二発殴られ、匠達の前では逆にいじめっこの汚名を着せられて終わった。
「……」
大人は真実を見抜いてくれるだろうか。離れてみて、外側に立つことで見えることもあるのだと、九ノ弟は初めて知った。
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