• テキストサイズ
恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第2章 桂楫
 そしてそれも屑ばかりになった頃、徐々に──ようやく、優沙は罪悪感のようなものを心のどこかで持つようになった。
 自分のしたことのせいで禊は不自由な暮らしを強いられ、童は昼も夜も寝る間を削って尽くしてくれている。
(私は何をしているんだろう……)
昼も夜も分からない闇の中で、悪夢に脅え束の間の眠りを繰り返し、箸すら持てなくなった右手をぶらりと伸ばし、匙さえ上手く使えない左手に苛立ち禊に当たり、或いは泣きすがって甘え、また眠りにつく。
 これは……生きていると言えるのだろうか。否、それはいい。そんなことより問題だったのは、自分の心の在り方だった。
 無気力に、ただ現状全てを他のもののせいにして、自分を想ってくれる近しいものに当たり散らして。
(私……馬鹿みたい)
童が言う私の優しさなど、その名の通り……沙(すな)のように軽くて頼りなくて、塵のようなものだったのだ。
 優沙はごめんなさいと呟き、動かぬ右手を動かし童を抱きしめた。動かないはずの手は動いてくれた。そしてこんな赤黒い手でも童は嫌がらない。むしろそれを喜んでくれて、ようやく、申し訳なかったと思った。
/183ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ