• テキストサイズ
恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第2章 桂楫
 右手から庭の方へ目を遣れば、今日も花の群れは穏やかに秋風に揺れている。今は種子も終わりの季節だが、まだちらほらと赤い花弁も残っていた。そしてその向こうには、もう苔むして趣を増した、石造りの小さな祠がある。
 「あの……もしかして、あの祠……」
ふと遠慮がちな声が横から聞こえ、優沙は再び視線を戻した。少女は同じように祠を眺めていて、この巫女の目には何がどう見えているのだろうと、少しだけ羨ましくも感じてしまう。
「……ええ、月読様がいらしてすぐ、花の神の御霊をお祭りさせていただいたの。祠はああしてうちにあるけど、御神体は日を決めてこの集落の家を回るようになってるのよ。それで受け持つ家は、その間たくさんのおもてなしをするの。それが、私があの時に視た花の神の望みだったから」
「そうなんですね。でも……それならきっと今は、花の女神様も楽しくて嬉しいと思います。種に託していた夢が叶って、安心して戻れるお家もできて。……温かく迎えてくれる人達がいる家は、本当に心がほっとするから」
「ふふ。だからあなたも、あの離れ小島に戻ることができたのね。……私達の祈りも、そんな温かい家になってくれているかしら」
「はい」
/183ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ