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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第2章 桂楫
そしてここに到り、ようやく話を全て理解したらしい主に禊は小さくため息を吐いた。
「そういうことだったの……早く言ってよ」
「私から言うべきことは特にございませんでしたので」
「そうかしら。照れなくてもいいのに」
「……」
それに禊はますます憮然として口数を減らすのだが、その頃には縁側で、古くからの友人のように並んでお喋りをする童二人の姿があった。
もう、昔の話だった。
「──ちゃんと巫女さん、助けられたんだな」
「うん。本当はあの後、きちんと話したかったんだけど」
「ああ……確か、俺もすぐだったからなあ」
「そうだね──あの頃は“大弟様”がいよいよ禊になるって、童連中もなんとなくそぞろわしくて……誰がその下に付くか競ってる奴らもいたし、要領よく、別人みたいに振る舞う奴もいた。でも──それでも大弟様が選んだのは君だった。不器用だけど、誰よりまっすぐで優しかった君のことを、ちゃんと見ていてくれた人がいたんだって──それを知ったときは、良かった、そうだろうって、僕も心の中で納得したんだ」
「へへ、なんか照れるな。いや、俺は最初やだって言ったんだけどさー」
「そういうことだったの……早く言ってよ」
「私から言うべきことは特にございませんでしたので」
「そうかしら。照れなくてもいいのに」
「……」
それに禊はますます憮然として口数を減らすのだが、その頃には縁側で、古くからの友人のように並んでお喋りをする童二人の姿があった。
もう、昔の話だった。
「──ちゃんと巫女さん、助けられたんだな」
「うん。本当はあの後、きちんと話したかったんだけど」
「ああ……確か、俺もすぐだったからなあ」
「そうだね──あの頃は“大弟様”がいよいよ禊になるって、童連中もなんとなくそぞろわしくて……誰がその下に付くか競ってる奴らもいたし、要領よく、別人みたいに振る舞う奴もいた。でも──それでも大弟様が選んだのは君だった。不器用だけど、誰よりまっすぐで優しかった君のことを、ちゃんと見ていてくれた人がいたんだって──それを知ったときは、良かった、そうだろうって、僕も心の中で納得したんだ」
「へへ、なんか照れるな。いや、俺は最初やだって言ったんだけどさー」