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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第2章 桂楫
分かるかもしれない、と神依はかつて日嗣の朱印を隠していた頃のことを思い出し、頷く。
だが、もう優沙自身に負担がなく健やかであるのなら──神依には是非とも彼女に乞い願いたいことがあった。
それはまさしく、今想った男神のために。
「あの、じゃあ……もし迷惑じゃなかったらでいいんだけど」
「うん」
「私……私も日嗣様に、何か喜んだり楽しんでもらいたくて。だから……もし何か私にも弾けそうな楽器があったら、教えてもらえたらなって。ううん──教えて、下さいっ!」
そのままがばっと頭を下げた神依に優沙は驚いたように目をしばたたかせ、けれどもすぐにあの悪戯そうな光を再び宿すと、偉そうに机の上で手を組んでみせた。
「そうねぇ──」
「優沙様」
優沙のたちを知る九ノ兄はそれを諌めるが、優沙はふふふっと密やかに笑んで、神依の頭をツンとつつく。
「名前」
「え──名前?」
つつかれた場所を両手で押さえながら顔を上げる神依に、優沙はにっこりと笑んで頷く。
「優沙って呼んでくれたら、お持たせのお菓子で許してあげる。私も神依って呼ぶわ」
「ん……えと、え? じゃあ、優沙……ちゃん」
「うーん。ま、今はそれでいっか」
「優沙ちゃん」
「はーぁい」
だが、もう優沙自身に負担がなく健やかであるのなら──神依には是非とも彼女に乞い願いたいことがあった。
それはまさしく、今想った男神のために。
「あの、じゃあ……もし迷惑じゃなかったらでいいんだけど」
「うん」
「私……私も日嗣様に、何か喜んだり楽しんでもらいたくて。だから……もし何か私にも弾けそうな楽器があったら、教えてもらえたらなって。ううん──教えて、下さいっ!」
そのままがばっと頭を下げた神依に優沙は驚いたように目をしばたたかせ、けれどもすぐにあの悪戯そうな光を再び宿すと、偉そうに机の上で手を組んでみせた。
「そうねぇ──」
「優沙様」
優沙のたちを知る九ノ兄はそれを諌めるが、優沙はふふふっと密やかに笑んで、神依の頭をツンとつつく。
「名前」
「え──名前?」
つつかれた場所を両手で押さえながら顔を上げる神依に、優沙はにっこりと笑んで頷く。
「優沙って呼んでくれたら、お持たせのお菓子で許してあげる。私も神依って呼ぶわ」
「ん……えと、え? じゃあ、優沙……ちゃん」
「うーん。ま、今はそれでいっか」
「優沙ちゃん」
「はーぁい」