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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第1章 初髪、初鏡
***

 それから数分。
「へえー、この家はみんなで食卓を囲むんだ。いいねえ」
「お前がいるぶん狭い」
「それって君が言うこと?」
神依と神々は飯台を囲み、また禊や童も今日ばかりは家事を最低限に抑え、皆揃っての遅い朝食を摂っていた。
 新年の朝から禊や童と一緒にご飯を食べられるという、そんな細やかなことも神依にとっては喜ばしい。これは例えば掃除や洗濯など、元日に行ってはいけないことが幾つもあるらしく、その時間が余る分だけ叶ったことだった。
 ただそれらの禁忌は訪れた年神を掃き出さないようにとか福(服)を流さないようにとか総じて縁起を担ぐものが多かったが、結局は「元日くらいはみんなゆっくり休もう」というのんびりとした慣習のようにも感じられる。
 なので神依もまたいつもの巫女装束とは異なる着物を着せてもらい、最低限の身だしなみだけを整えてその場にあった。
 そして童が綺麗に盛り付けてくれたお雑煮の餅を箸で目一杯に伸ばしてから頬張り、幸せそうに頬を抱く。
「──美味しい! 童、お雑煮すっごく美味しいよ~!」
「良かった。餅はたくさんあるし、味付けも味噌と醤油の二種類あるから、どっちでも好きな方で煮てあげる」
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