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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第3章 誓約
特にこの神様は、昼も夜も孤独が長すぎたのだと思う。夜を共に過ごすのに自分を選んでもらえたなら、神依は母がしてくれたように一つの布団の中で寄り添い、抱きよせられればその胸に顔を埋めた。
けれどそんな時は決まって、日中(ひなか)にはたくましく頼もしく見える手が、まるで泡に触れるかのように優しく伸びて自分の頬や肩を意味ありげになぞるので、日毎に情欲をちりちりと炙られる。
嫌かと問われれば、嫌でもなく──だから、回りからからかわれているほどに夜伽に耽ることはなかったが、それをほのめかすような空気の夜は、噂以上には圧倒的に多かった。
禊達が退出し、しばらくはそんな風に枕を並べて他愛のないお喋りをしながら布団に入っていた二人だったが、やがて灯の外の闇の色が増し家中の物音がしなくなった頃、目配せをして起き上がった。
二人はそのまま枕元の灯りだけを頼りに手早く着替えると、お守りの玉飾りを首から提げる。
日嗣は未だ玉と剣を持ち、黄泉に持ち込んだ鏡の欠片もこの家の神棚に特別に祭ってあった。
神宝(かんだから)を持つこと。それが意味することを、神依も理解して、日嗣の隣にいる。
けれどそんな時は決まって、日中(ひなか)にはたくましく頼もしく見える手が、まるで泡に触れるかのように優しく伸びて自分の頬や肩を意味ありげになぞるので、日毎に情欲をちりちりと炙られる。
嫌かと問われれば、嫌でもなく──だから、回りからからかわれているほどに夜伽に耽ることはなかったが、それをほのめかすような空気の夜は、噂以上には圧倒的に多かった。
禊達が退出し、しばらくはそんな風に枕を並べて他愛のないお喋りをしながら布団に入っていた二人だったが、やがて灯の外の闇の色が増し家中の物音がしなくなった頃、目配せをして起き上がった。
二人はそのまま枕元の灯りだけを頼りに手早く着替えると、お守りの玉飾りを首から提げる。
日嗣は未だ玉と剣を持ち、黄泉に持ち込んだ鏡の欠片もこの家の神棚に特別に祭ってあった。
神宝(かんだから)を持つこと。それが意味することを、神依も理解して、日嗣の隣にいる。