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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第3章 誓約
神とそれに準ずる者達。そしてその加護の元、淡島に根付く人々。
二者が共に生き共に生かされる世界というのは、この淡島という半神半人世界の、理想的な巡りのひとつだったのかもしれない。
しかし、日嗣と神依はまた違ってしまった。
日嗣はそれを言葉で呑み込むのではなく、直に知りたいと望んでしまった。毎日を堅実に生きる彼らの、生や心に直に触れてみたいと思ってしまった。
だから半ば無理矢理に童を伴ってはあちこちに赴き、そこで見聞きしたことやそれについて感じたこと、考えたことを神依にも語り、問うてくれる。時にはこうして、約束通り連れ出してくれる。
「──どうした、眠いのか? ぼうっとしていて転けるなよ。道も均されていないからな」
「あ、はい。……眠くはないですから、大丈夫ですよ」
「そうか? もし辛いのなら、家まで運んで翔んでやる。お前も朝は早いしな」
「平気です」
そんなに何か考え込んでいただろうか。周囲いわく、過保護らしい日嗣の物言いで我に返った神依は、目をこらして辺りを見回してみた。
空の光、森の影。その奥から夜鳥の声が聞こえる。夜の世界。
それでも人里が近いのか、道祖神が祭られている二俣の道に差し掛かった。
二者が共に生き共に生かされる世界というのは、この淡島という半神半人世界の、理想的な巡りのひとつだったのかもしれない。
しかし、日嗣と神依はまた違ってしまった。
日嗣はそれを言葉で呑み込むのではなく、直に知りたいと望んでしまった。毎日を堅実に生きる彼らの、生や心に直に触れてみたいと思ってしまった。
だから半ば無理矢理に童を伴ってはあちこちに赴き、そこで見聞きしたことやそれについて感じたこと、考えたことを神依にも語り、問うてくれる。時にはこうして、約束通り連れ出してくれる。
「──どうした、眠いのか? ぼうっとしていて転けるなよ。道も均されていないからな」
「あ、はい。……眠くはないですから、大丈夫ですよ」
「そうか? もし辛いのなら、家まで運んで翔んでやる。お前も朝は早いしな」
「平気です」
そんなに何か考え込んでいただろうか。周囲いわく、過保護らしい日嗣の物言いで我に返った神依は、目をこらして辺りを見回してみた。
空の光、森の影。その奥から夜鳥の声が聞こえる。夜の世界。
それでも人里が近いのか、道祖神が祭られている二俣の道に差し掛かった。