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恋いろ神代記~神語の細~(おしらせあり)
第3章 誓約
神依は何故かそれに安心感と親近感がわいて、なんとも巫女らしいじゃないかと自画自賛しながら、傍らの神の手をきゅっと握り直す。
 「童も毎日、こんなふうに通っていたんですね」
「ぞろぞろとつるんでな。だがあいつらも、外の人間と関わることはほとんどない。あいつらも、あいつらが出る田畑もまた、特別なものだからな。それでも──驚きはされたが、別に嫌な顔はされなかったな」
「もしかして、話しかけてみたんですか?」
「道すがら見掛けた者に挨拶をして、二言三言仕事の労をねぎらっただけだ。三日も経てば匠は諦めるし、向こうも慣れて、よく応えてくれる。突然、子供達を連れてきたりしてな」
「へえ……なんか、いいですね。そういうの」
「ああ──ほら、こっちだ。少し登るぞ」
 分かれ道の一方をしばらく進むと、日嗣は子供のように小走りに駆け出す。神依も手を引かれるようにしてそれに従い、林の合間を縫う小道を走る。不規則に曲がりくねった道。
 そして次に日嗣が足を止めたとき、
「──……っ!」
途端に目の前に広がったその光景に、神依は思わず、声にならない声を上げた。
 視界を遮るものは何もない。そこは天も地も、風だけがあることを許された広く広く開けた空間。
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