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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第3章 混・乱・事変
髪を半分ほど乾かしたところでバスルームから出て、タオルを身体に巻いた姿のままリビングに向かった。
何故か、彼が上がってきたかどうかが気になって仕方がなかったのだ。
リビングのドアを開け、室内を見渡して誰も居ないように見え、拍子抜けしたような溜め息を吐いたしのは、今の自分の心の動きが理解できずに戸惑う。
(――あの人がまだ来てなくてがっかりしたような気持ち……なんで?)
しのは、部屋の壁に飾られている幼い自分と母親が笑っている写真を見てやるせなくなり口元を歪めた。
(がっかりといえば……今日はママに聞いて欲しい事があったのにな……)
幼い頃は母も父も家にいて、ごく当たり前の家族の団らんがあったような気がする。
記憶があやふやだが、確か幼稚園に上がる前くらいに三人で海へ遊びに行った。
(あの日は凄くいいお天気で、気持ちよい風が吹いてて、ママのさくらんぼの柄のワンピースがヒラヒラ靡いてたのを私はうっとり見ていた……あのワンピースが大好きで、大きくなったら私に頂戴ってせがんでいたっけな……)

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