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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第3章 混・乱・事変
「大丈夫……ゆっくり息を吸って」
低い耳障りの良い声がうなじを擽り、背中をそっと撫でる感触がしのを少しずつ過去の悪夢から引き上げていく。
「ぐ……ケホッ……」
「慌てなくていいからね……ゆっくり……ひ――ひ――ふ――ひっひっふ――」
「……っ……」
「ひっひっふ――……そう、上手上手……ひっひっふ――」
しのは内心(お産の呼吸法じゃあるまいし)と思ったが突っ込みを入れる余裕などなく、優しい声に合わせ呼吸を繰り返す。
片手では背中を擦り、もう片方の腕はしのを抱き締めている。
見覚えのある手の甲と指の爪の形。抱き締められる感触も覚えがある――
「大分良くなってきたかな……?ひっひっふ――」
そう、この声の主は……
「……ずっこけ……カメラマン……さん?」
しのは、まだ少し震える手で、自分を抱き締めているその腕を握った。

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