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彼の秘密
第12章 憂鬱
二人の前にお冷やが置かれる。
何を話した方が良いのか解らないので、水を口に含んで相手の反応を待つ。

「あのさ、そのごめん。」

「えっ?」

「いや、中学の事」

「・・・あぁ、何で?」
コップから口を離して、身を乗り出す。
理由が聞きたい純粋な疑問だ
「何でって、・・・俺さ本当はあんなことするつもりは無かったんだ。」

「・・・皆本人の前ではそう言うよ。」

「本当は友達になりたかったんだ」

「まぁ...そうだったね」
俺が冬樹を覚えてたのはクラスメイトだからというわけではない。
始めは友達みたいな関係だった。
けど、それが崩れるのは早くて。
小学と中学はほとんど人は変わらない。
だから、小学でいじめてた例の連中は中学に入ってもしつこくいじめてきた。
その根回しがクラスに馴染むのが予想以上か以内なのかは知らないが早かった。
そうやって彼も他と同じように敵に廻った
「親に迷惑かけたくないし、標的になりたくなかった」

「だからって、はいそーですか。仕方ないですねって・・言えるわけないでしょ。
で?他には
あっ、因みに唐揚げ定食で」

「えっ、あ、ぁあ。
他には・・・俺が、弱かったからお前を傷つけて。
あのとき守るどころか
あ、すみません。
唐揚げ定食とドリアを一つ・・・はい。」

飲み干したコップを置く。
中の氷がカランと回って底に落ちる。
「・・・守るねぇ、本当にそう思ってたならしなければ良かったのに・・・まぁ、仕方ないとは思うけど。」

「え」

「俺があのときの標的だっただけで、あのときの獲物が例えば冬樹だったら・・・俺も同じことするんじゃない?
わからないけどね、もしもの話なんだし、
それに正直言うとそこまで君を恨んでないよ
一人一人を恨むほど余裕なんかなかったし」

「お待たせいたしました。」
二人の元に料理が届いた。
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