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彼の秘密
第12章 憂鬱
「元からって」

「だから言った通り、一人ひとりをいちいち恨んでることなんて出来なくない?
そりゃぁ多少は恨みもあるし会いたくなかったよ
けどさこうして会ってみて変わったというか..なんか今は少し助かってるから。」

「どういうこと?」

「・・・こっちの話。それよかさ食べよ?冷める」

「あ、そうだな」

大好きな唐揚を口に頬張る。

美味しい?
ていう先輩の顔が頭をよぎった

「えっ?どうした?!なんか口の中切った?」

「え、いやなん・・・で」
冬樹がぎょっとして、俺にティッシュをさしだす。
それで、目をふく。
また泣いてる。情けない

「ごめん、ちょっと目にゴミが入って。」

冬樹はスプーンを置いて立ち上がる。
「もう出よう。」

「え、いや」

「いいから、話がある。」
と冬樹はさっさとお金を払って出ていってしまった。

「ちょっとどうしたの?」

「何か辛いことでもあった?俺に話して。」

「何もないよ」

「…それなら良いんだけど、」
冬樹はどこかぎこちない動きでちらちらとどこかを見てた。
そして腕を引かれて路地に引き込まれた。
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