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彼の秘密
第21章 夏休み
「雫!」

「あっ、やっとき...た」

「この前はごめん!」
色んな音が鳴っていた室内が、しぃんと静まり返る

「えっ、何なに?」
「ちょ、あれ見てみてみろよー」
彼は俺を呼ぶなり、地面に頭をぶつける勢いで謝罪した。
所謂土下座

「あ、あの、冬樹?」

「ちゃんと謝れてなくて、本当に今までのことどう償っていけばいいかわからないけど、それでも」

「ここじゃあれだから、向こうで話そっか!
皆さんもお気になさらずに、すみません」
彼の頭を取り合えず上げさせて、立ち上がらせる

そして、場内の隅っこに移動する。

「急に謝り出すからビックリしたよ。
前も言ったけど虐めの事はもういいから」

「違う、襲いかけたことだよ」

「あっ、そっちか...ちゃんと反省してるんでしょ」

「うん、でも聞いて欲しい。あの時の言葉に嘘はないから」

「....好きっていったこと?」

「うん。実はさ俺ゲイなんだよ。
それがバレたくなくて、てか思いたくなくてお前を苛めてた部分もある。
でも、ずっと悔やんでたしそんな自分が嫌いだった。
あの日お前に会って、欲が押さえられなくて傷つけて、こんなんで好きとかいうのって卑怯だけど、それだけは信じて欲しい」

「そっか、あのさ俺今付き合っている人がいるし冬樹とは付き合えないし、てか付き合うとかないなって思ってる。
でもね、俺達友達に戻れると思うんだ。
だって、ゲイとかそんな大事なこと話すの怖かった筈だし、それには沢山悩みもしたんでしょ?
それで今打ち明けたなら、もうぎすぎすした関係は必要ないと思うから、だからやり直そうよここから」

すっと手のひらを差し出す
「これから、宜しくお願いします」

「...お前、優しすぎるって」
その手を握り返した
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