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彼の秘密
第21章 夏休み
それから皆で屋台を回って、遊んで騒いで
祭りというイベントを楽しんでいた

「もうそろそろだな」
人混みを歩いている中、はぐれないように手を繋いでいた先輩が何か呟いた気がして彼の横顔を見ているとぱちっと目が合うと、優しく目を細めた
「行こっか」

どこにと聞く前に腕を引かれた。
咄嗟に澄達に声をかけようとしたけど、既に見失っていた

人の流れに逆らって引っ張られていると、初めて出会った日の事を思い出した。

…手が熱い

手から伝わる熱が、胸にすとんと落ちる。

この手は離したくない

ぎゅっと離れないように握りしめた。

「ここで良いかな」
連れてこられたのは、お寺
夜のお寺はどこか不気味な雰囲気を漂わせていて、急に戻りたくなった

「先輩、戻りましょう」

「もう少しだけ我慢してて、みれるから」

「お、お化けだけは見たくない!」
腕を引っ張り背中から俺を抱きすくめ、目を両手で隠された
「こうしとけば怖くないでしょ」

「寧ろ怖い!やだ、せ、さ、暁さん怒りますよ?!
怖いの嫌いー」

「ごめんごめん、少しだから…あっ、ほら」

ぱっと視界が明るくなった先には、大きな大輪が咲いていた
「えっ、」
一瞬言葉を失った

地面を揺らすような音に圧倒され、咲き誇る花に魅了された

「ここ穴場でね、雫に見せたかったんだ。
綺麗でしょ」
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