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彼の秘密
第21章 夏休み
言葉を発せずゆっくりと首を降る
「美花達とも見たかっ…た」
その目から一粒涙が頬を伝う
「すみません、折角こんな」
涙を拭おうと腕を顔に持っていこうとしたが、宙で捕らえられた
「笑って」
耳元でそう囁かれて、顔を見上げれば先輩は悲しげに眉を寄せて、困ったように笑っていた。
「笑って、乗り越えなきゃ、思い出にしなきゃ
…君が擦りきれてしまうから。
ごめん、残酷だよね

でも辛いときは俺が居るから、ううんずっと君の隣にいる。何があってもこの手を離さない
雫も俺を選んで、歩むのは君の隣を歩くのは俺だよ」

その目は優しく、口は厳しく、絡む指は強く

何1つ捕らえて離さない

全てが強く自分を揺さぶって、決断を迫られる

でも何を取るのかなんてもう決まっていた
ぐしゃぐしゃに濡れた頬を引き上げ笑う
「俺にはもうあなたしかいない、離さないで、俺をこの手を離さないで」

そっと口づけが交わされた

月夜に光る花火を横目で眺めながら、甘い口づけを味わう



ごめんなさい

花火は大輪を咲かせて散っていく、その場で感動すれど明日にはそれが薄れていく

あなた達を花火にしてしまう自分を許してください

さよなら父さん 母さん 美花

視線を元に戻して、すがるように指を絡め直して与えられるままに応じた
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