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彼の秘密
第21章 夏休み
二人と別れてからまた数十分電車に揺られ、目的地に着いたらしい
その間喋るのが好きな印象があった彼は一言も話しかけてこなかった
その彼の第一声と同時に足が止まった
「じゃ、ここで良いです」

「君の家までじゃないの?」

「ですからここですよ」

「…」
その場所を見て訝しげに彼を見る
「何か俺の顔に着いています?」
だが、何も触れてこない、いや触れてほしくないことなのだろう
「いや、じゃあ俺は帰るよ」
荷物を返しくるりと背中を向ける、あまり関わっていたくない

「夜道気をつけてください、あなた色々怨み買ってるんですから」

「そうだね、精々気を付けるよ」

「じゃあさよなら」
キーと門が閉まる音がして、足を止め振り向いた
だが、彼はこちらを気にする様子もなくドアの向こうに消えていった
暫く閉まったドアを見つめていたが、首を振ってまた足を踏み出した

「怨みか」
思い当たる節が多くて特定は出来ないが、今までを振り替えれば候補は絞れる

精々気を付けよう

あの子を手放さなくてはいけない事態は避けたいからね
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