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彼の秘密
第22章 二期
目を覚ますと、辺りは真っ暗で時計の針が刻む音だけがした。
寝返りを打っても隣には先輩の姿は無かった。
「暁さん?」

名前を呼んでみたが返事は返ってこない、急に不安が込み上げてきて毛布をはいで部屋の電気をつけた。
再度名前を呼んでもやっぱり返事は来ず、お風呂場、トイレを捜したが居なかった。

連絡を取ろうと鞄の中にいれっぱなしだったスマホを取りだすが充電が切れていて、真っ暗な画面に自分の顔が映る

その表情は不安に駆られ今にも泣きそうな顔だった。

深く深呼吸をする。
普通に先輩は出かけた、捨てられたとかそんなのじゃないことはわかっている。
ただ、一人が酷く不安で堪らない。
前までこんなことは無かった、一人が怖くなったのは家族を亡くした日からだった

大事な人が突然居なくなる、その喪失感は耐えがたい、またその時に感じる不安や焦りは一度胸に宿るとなかなか消えてはくれない。

違う、ちゃんと帰ってくる。
物騒な考えをするから不安になるんだと思っても、漠然とした不安は消えてくれない。

こんなことなら、不安を覚えた日に自分は一人が不安だということを言っていれば良かったかもしれない。
そうしたら、あの人は俺を置いては行かなかったかもと考えたところで実現不可能だと、頭を振って頬を叩く。

兎に角無駄に慌てても仕方がない、音が無いから余計に一人を意識するんだからとテレビをつけた。

『本日、17:50分頃○○で通り魔事件が発生しました。被害者の身元を特定中です。
また、目撃者からの情報によりますと…』

「近所だ」
時計に目をやると、18:30。
本当についさっきだ、先輩本当に何処に行ったの?

充電器を刺していたスマホに手を伸ばし電源を付ける、この時ばかりは立ち上げ時間が長く感じる。

画面がつくなり、電話をかける。
「お願い、出て」

「ただいま」

『ただいま』

玄関と電話から同時に先輩の声が聞こえた。
買い物袋を両腕にぶら下げる先輩の姿を確認して、さっきまでの不安は涙となって頬に筋を付ける。
「良かった」
そう言って先輩に抱きつく。すると温もりを直に感じて、胸が満たされた。
すぐ側に居るだけでこんなにも安心ができる、ずっとは求められないけど今だけ自分を満たしていたい
と思っていたら抱き締め返された。

「ごめんね、寝ているから起こしたら悪いかなって…不安にさせたよね」
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