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彼の秘密
第9章 テスト対策
カリカリとペンを走らせる音と、紙がめくられる音しかしない中ふと先輩の方を見た。
先輩はすごい集中してて、ペンが止まる気配がない。

先輩の眼鏡姿なんて初めて見た。
髪もさらさらしてるし、肌きれいだな・・・なんて思ってると先輩と目があって思わず目を反らす

「なに?俺の顔に何かついてる?」

「い、いえ!」
顔が熱い

「そう?なら集中しなよ。ペンが止まってる。雅に勝ちたいんだよね?」
鋭い眼差しで自分の手元を見てるのがわかった

「・・・はい」
怒られた。まぁ俺が悪いんだけど先輩いつもと雰囲気違うし集中できない。

余計な雑念を消そうと頭を振って、再びペンを走らせようとしたら
「ねぇ」
と先輩から声をかけられた。集中しようと思ってたのに!!

「なんでしょうか」

「そこ間違ってる」
と先輩は俺のトントンと細い指でノートを指す

そこを見ても俺はすぐに理解はできなかった。
「ほら。ここ」
弧を描くようにノートと教科書を指さす

「あっ」
どうやら、少し前の時代の人物を書いていたみたいだ。

「そこは、似たような名前が多いからしっかりと文書をよんで年号をはっきりさせてから答えを導き出すんだよ」

「なるほど」

答えを書き直す雫の横顔を、優しい眼差しで見ていたのを彼は知らない
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