この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
タイムリミット365
第9章 最期の作品
「なぁ、羽音。あの日、この場所でお前は、あの世に行くのを怖いと思ったか?」
「えっ?」
「命が消える事を、怖いと感じていたか?」
「…そうだね。少し怖かったかな…。」
「だよな…。」
そんな事を聞いてくる輝翔に、私の心が乱される。
なんだろう…。
やっぱり、体調が悪いんだろうか…。
前向きな輝翔が、弱気になっている。
死と向き合う事。
それは、どんな人だって、きっと不安で恐怖でしかない。
この世界が嫌になって、自分が嫌になって、自ら命を投げ出そうとした私でさえも、ここに立った時に、恐怖を感じた。
いつ訪れるか分からない死と向き合っている輝翔にとって、それは私の時とは比べ物にならないほどだと思う。