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タイムリミット365
第9章 最期の作品
「みんな、いつかは逝くんだけどな…。」
「うん…。」
「なぁ、羽音。向こうの世界は、どんななんだろうな…?」
「………。」
「向こうでも、好きなように自由に過ごせるのかな?」
「………。」
「羽音…向こうは…っ!」
何かをまた言い出した言葉を遮るように、私は輝翔のそばに駆け寄り、輝翔の体を強く抱き締めた。
「もう、いいから!何も言わなくていいから!」
怒鳴るように言った私の言葉に、輝翔の体がビクッと動いたけど、その後すぐに輝翔は私を同じように抱き締めてきた。
「大丈夫。輝翔は今ここにちゃんと存在しているじゃない!大丈夫!輝翔を向こうに逝かせたりはしない!」
「…羽音。」
「もしも輝翔が、逝ってしまう事があったら、私も輝翔と一緒に逝くから。一人にはしないから!」
「…羽音。」
「私も輝翔も、もう一人ではないんだから。何でも言って。辛い事も悲しい事も。私は輝翔の全てを受け止めるから。」
抱き締め合った体から、お互いの温もりが伝わりあっていく。
抱き締める腕を緩めると、輝翔が私の頬を両手で挟み、微笑んだ。