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タイムリミット365
第9章 最期の作品
「死のうとしてたお前に、まさか励まされる事になるなんて、思わなかったな。羽音、強くなったな。」
輝翔の眼鏡越しの瞳が、優しく見つめる。
ううん。
強くなったわけじゃないよ。
輝翔がいるから、今私はこうして強く生きていられるんだ。
輝翔のいないこの世界になったら、私は…。
言葉に詰まる私を見て、輝翔が私の頭を撫でた。
「なぁ…羽音。約束してくれるか?」
「んっ?」
「俺がこの先、逝ったとしても、お前は俺の分も強く生きて幸せになって欲しい。」
「………っ!」
「お前を向こうの世界へ連れて行く事は、出来ないよ。」
「………。」
「最初に決めた、タイムリミットの365日。それが過ぎたら、お別れだ。」
輝翔の言葉に、私の頭の中は真っ白になった。
いつまでも、輝翔と一緒にいれると思っていたのに。
最初からタイムリミット付きの恋愛なんて、約束しなければ良かったんだ…。
365日なんて…。
あっというまに過ぎるんだから…。