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タイムリミット365
第9章 最期の作品
意志の固まった私の様子を見て、輝翔は安堵の表情を見せた。
今度は私の前髪を優しく耳にかけて優しく笑う。
「羽音。ありがとう!もう心配いらないな。今の羽音なら、この先も大丈夫だ。」
「輝翔…。」
「一緒に逝ってくれると言った羽音の気持ちは、すげー嬉しかったんだ。ただ、この場所で羽音が生きていこうと決めた意味がなくなってしまうだろ。俺がお前を止めた意味も、なくなってしまう。」
「そうだね…。」
「それに、俺は今の生きる事を楽しんでいるお前が好きだ。だから、この先も楽しんで人生を歩んで欲しいんだよ。」
「うん…。」
俯いた私の頬をそっと撫でて、輝翔が静かに続けた。
「俺は簡単に死んだりはしない!約束する!」
見つめる輝翔の瞳は、今までのように、強く強く輝いていた。
「俺の側で俺の最後の悪あがきを見ててくれよ!病気になんて、俺は負けねー。お前を置いて死んだりしねーよ!」
「うん!うん!」
さっきまでのモヤモヤが嘘のように、私もスッキリとしていた。
だって、抱き締める輝翔の腕はこんなにも力強いから。