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タイムリミット365
第9章 最期の作品
「で、原稿はどうだった?」
輝翔が本題に話を戻すと、浅沼さんも仕事の顔に戻っていく。
真剣な表情だった浅沼さんの顔が、ゆっくりと優しく変わる。
「お前は、あのラストでいいんだろ?俺も、いいと思うよ。お前にしては、珍しいラストだけどな。」
「そうだな。」
「悔いは残らないか?」
「あぁ。最高の作品になったと自分では思ってる。」
「そうだな。読者の反応が楽しみだな。」
「……。まぁな。」
今までテンポよく続いた会話の中で、一瞬間が空いた輝翔の返事。
輝翔は、きっと作品が出る頃に自分がこの世にまだいるのか、考えたんだ。
そんな事を思ったら、私はありきたりな言葉だけど、何かを輝翔に言わなければ、気がすまなかった。
「皆の感想が楽しみだね。たくさんの人がきっと、輝翔の小説を読んでくれるよ。」
そんな私の言葉に、輝翔は優しく微笑んだ。
「そうだな。楽しみにしておくよ。」
「うん!楽しみにしよう!」