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タイムリミット365
第11章 愛をありがとう
「羽音ちゃん。」
廊下に出て、気持ちを落ち着かせていると、向こうから名前を呼ばれて、そちらを振り返る。
次の瞬間、スーツを着た男性がこちらに近付いてきて、私はその人の腕の中に無言で包まれた。
我慢していた涙が、滝のように一気に流れ落ちる。
「大丈夫だから。成海はそう簡単に君を置いて逝ったりはしないよ。」
優しくそう語りかけられて、私は少し安心した。
私以上に輝翔と同じ時間を過ごして、輝翔を必要としてる人。
そう、彼の言葉だからこそ、私は安心する事が出来た。
「浅沼さん…ごめんなさい。」
彼の腕から体を離すと、浅沼さんがフッと笑った。
「あ!こちらこそ、ごめん!こんなとこ成海に見られたら、怒られちゃうからな。」
そう言った浅沼さんが、優しく私の肩をポンポンと叩いた。