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タイムリミット365
第11章 愛をありがとう
平穏な日々は長くは続かなくて、その1週間後に輝翔の容態が急変した。
心拍数も弱くなり、今にも消えてしまいそうで…。
瞳を開けてくれない輝翔の手をずっと握りしめて、向こうの世界に逝ってしまわないように、私はずっと祈っていた。
輝翔。
お願い。
瞳を開けて。
輝翔が再び瞳を開けてくれたのは、次の日の夜だった。
輝翔の手を握ったまま疲れて眠ってしまった私の手を輝翔が強く握り返してくれた。
その手の感触に目を覚まして、輝翔を見ると、優しく私を見つめる輝翔がいた。
「輝翔。良かった!」
そう言った私の言葉に、微笑みながらわずかに頷いた輝翔。
そして、輝翔の唇がわずかに動いた。
聞こえない言葉に急いで耳を近付けると、私の耳に輝翔の甘い言葉が静かに響いた。
「羽音…ありがとう。」
「うん!」
そして、ゆっくり続いた言葉を私はしっかりと聞いた。
「あい…し…て…るよ…っ。」
その言葉と一緒に一瞬だけ、私の髪を撫でた輝翔の手。
その手がすぐに、パタッとベッドに落ちていった。
そして、私の耳にさっきまで感じていた輝翔の息すら感じる事が出来なくなった。