この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
タイムリミット365
第12章 遺された愛
☆浅沼楓side☆
親友の成海が亡くなった。
人一倍、努力家で人生を楽しんでいた奴が、こんなにも早く亡くなるなんて…。
成海が最期に書いた小説を片手に俺は、そんな事を考えていた。
成海の新作は、まだ世の中に発表されていない。
もともと、世間に正体を明かさず、執筆していた成海の死を知る人もいない。
そう、俺と彼女以外は…。
病院に運ばれる何日か前に、珍しく成海から俺のところに電話があったんだ。
昔から電話は面倒だから嫌いだ!という成海だったから、珍しくかかってきた電話に、不安を感じた。
「もしもし、成海だけど。今いいか?」
「おう!大丈夫だ。お前から電話なんて珍しいな。」
電話越しの声は、かなり弱々しくて、俺の不安を更に煽る。
きっとすごく大切な内容の電話なんだと、俺はすぐに悟っていたんだ。