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タイムリミット365
第12章 遺された愛
「たまには、電話でもかけてやるかって思ったんだよ。」
「そうか…。」
いつもなら、お互いに冗談の言い合いになる会話も、今日は弾まない。
沈黙が続いた後に、成海が静かに言ったんだ。
「浅沼。お前に頼みたい事があるんだ。」
「なんだ?どうした?」
ゴクッと唾を成海が飲みこんで、吐き出したため息。
その後の成海の聞いた事のない絶望的な声を俺は、ずっとこの先も忘れない。
「俺はもうダメだ。」
覚悟していた言葉だったが、すぐには理解出来なくて、俺は返事もできずに、成海の言葉をただ聞いていた。
「浅沼。」
「あぁ…。」
「羽音の事を頼む。」
「わかった…。」
そんな短い会話が続いた。