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第12章 遺された愛

成海が亡くなって、一月がたった今日、俺は彼女に会いに行く事に決めた。

羽音ちゃん…。

元気にやってるだろうか…？

成海の遺作となってしまった出来たばかりの作品を、彼女に一番に読んでもらうためにも、この本を届けなくては。

この本の中には、たくさんの成海からの愛のﾒｯｾｰｼﾞが入っている。

ｱｲﾂが伝えたかった事が、たくさんつまってるんだ。

だから、羽音ちゃんには、一番に読んでもらいたいんだよ。

ｱｲﾂがいなくても、これがあれば、君はきっとしっかり生きていけるはずだ。

ｱｲﾂが残した君への愛が、ここにはたくさんつまっているんだから。


そんな思いで、君に会いに行ったのに、まさかあんな事になるなんてな。

まさか、成海からの君への愛の贈り物が、この本以外にある事を知るなんて…。