この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
タイムリミット365
第12章 遺された愛
輝翔…?
私は貴方のもとへ行けたの?
失われた意識が戻ってきて、一気に現実に引き戻された。
私が目覚めた所は、輝翔がいる世界ではなくて、輝翔のいない一人ぼっちの世界だった。
輝翔と同じ世界に逝けたら、幸せなのに。
まだ朦朧とする意識の中で、そんな事だけを考えていた。
徐々にしっかりとしていく意識の中、私のそばで私をちゃんと見守ってくれている人がいる事に気付いた。
固く握られた私の右手。
そこから感じる温かなぬくもり。
輝翔…?
ゆっくりと瞳を開けて、そのぬくもりの相手を確認する。
輝翔ではない人。
でも…
そのぬくもりから、久しぶりに私は安心感を感じていた。
優しく私を見つめて微笑んだ彼が、優しく私の名前を呼んだ。
「羽音ちゃん?大丈夫か?」
その声に、相手が浅沼さんだと気付く。
「はい…大丈夫です。ごめんなさい…私…。」
謝る私に浅沼さんは、ゆっくりと首を振って、気にしないでいいからと、また優しい笑顔をくれた。