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タイムリミット365
第12章 遺された愛
「羽音ちゃん…?」
涙で滲む瞳で、浅沼さんを見つめていたから、浅沼さんが心配そうに私の名前を呼んだ。
「ごめんなさい。輝翔にも、以前同じような事を言われたから、浅沼さんと輝翔が重なってしまって…。」
失礼な事を言ってるのは、わかっているけど、私は嘘はつきたくなかった。
そんな私の涙を指で優しく拭うと、浅沼さんが私をギュッと抱き締めた。
「いいよ。俺を成海だと思って、今は甘えればいいよ。君の中で成海が、ちゃんと落ち着けるまでは、俺が成海の変わりに支えるから。一人ではないんだから、もう成海を悲しませるような生き方は、今日からやめよう。」
「浅沼さん…ありがとう。」
私は浅沼さんの背中に回した腕に力を込めながら、その優しさに、甘えていた。
私は、一人じゃない。
それ以上に、輝翔の事を愛している人が、私の他にもいることが、嬉しかった。
輝翔がいない事を、一緒に悲しんでくれる人がいること。
それだけで、私には心強い支えになっていた。