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タイムリミット365
第4章 目覚めていく体

私の体が折れてしまうんじゃないかと思うほど、強く強く抱き締められる。
輝翔の胸に顔を埋めて、輝翔の温もりを感じていると、耳元に輝翔の息が吹きかかる。
だいぶ焦っていたのだろうか。
息が荒い。
そんなに心配してくれたの?
どうして…私なんかを?
「また死のうとしに行ったかと思った。」
ボソッと呟かれたその言葉に、私は軽く首を振った。
「今私は、輝翔の恋人だもん…。勝手に死んだりしないよ。死ぬ時は、ちゃんと伝えるから…。」
「そうか…。」
「輝翔と1年契約したこの命を、勝手になくすなんてしないよ…。」
「そうだな…。羽音の命も今は、俺の物だ。勝手に死なせたりはしない。」
更にきつく抱き締められたのに、私は全然苦しくなくて、寧ろ居心地良くて、自分からも輝翔の背中に腕を回して、抱き締め返した。
心配してくれたんだ…。
嬉しい…。
誰かが、帰りを待ってくれている。
そして気にかけてくれている。
それだけの事が、こんなに嬉しいなんて、知らなかったよ…。
輝翔の手が、私の頬を優しく撫でて顎を掴み、上を向かす。
見上げた輝翔は、黒い眼鏡ごしに優しい瞳をしていた。
お互いにクスッと笑って、吸い込まれるように、自然に口づけた。
輝翔…ありがとう。
私、すごく嬉しかったよ。

