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タイムリミット365
第6章 向き合う事
「俺にとっても、お前は必要な存在なんだよ。」
「ほんとに?」
「あぁ、今度ゆっくり話すよ。それでいいか?」
「うん。」
「そっか。じゃ、帰るか。もう、一人で死のうとするなよ。死にたくなったら、俺に言えよ。」
繋いだ手はさっきよりも、ずっとずっと強く握られている。
今すぐに輝翔の事を知れない。
さっき聞いた衝撃な言葉の答えも、いますぐに聞きたいけど。
やっと繋がったこの手の温もりだけで、今は十分だと思った。
輝翔がここにいて、私を必要としてくれている。
それだけで、今の私は幸せだったから。
あと8ヶ月ある。
その間にきっと輝翔は、話してくれるはずだ。
彼が隠している何かを…。
そして、私への気持ちも…。
だから、今は焦らずに待ちたい。
少しだけ縮まった輝翔とのこの距離が嬉しいから。
家までの帰り道。
握られた輝翔の手は、温かくて彼がこの世からいなくなってしまうなんて、思えなくて、私はその事実から目を背けようとしていたんだと思う。
貴方はきっと、大丈夫。
死んだりなんてしないよ。
さっきの言葉は、本心じゃないんだよね。
ね?輝翔…?