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タイムリミット365
第7章 輝翔の真実

「読んでくれてたんだな?ありがとう。」
「あっ…いえ、どういたしまして…。」
何だかぎこちない私達の会話を聞いて、浅沼さんがクスクス笑った。
「恋人同士なのに、変な会話だな。これから原稿目を通すから、二人でその辺プラプラしてこいよ。」
「ああ、そうさせてもらう。じゃ、後でな。」
浅沼さんにお辞儀をして、輝翔と二人エレベーターに乗る。
何をどう話していいかわからず、沈黙が続いてエレベーターは、いつの間にか、屋上へと上がっていた。
懐かしいこの場所。
もうあれから、半年がたったなんて…。
私はゆっくりと、あの場所へと歩いていく。
その姿をあの日と同じ場所で、タバコを吸いながら、輝翔が見ていた。
「輝翔、ごめんなさい。私、入ってはいけないと言われた部屋に入ったの。」
「…そうみたいだな。」
「で、貴方が小説家だって知った。本当に小説家だったんだね。」
「ああ。今日お前にちゃんと俺の事話そうと思って、ここへ連れて来た。」
「輝翔、勝手に部屋に入ってごめんなさい。」
「いいよ、そんな事。それよりお前も、こっち来いよ。もう、そこに用はないだろ?」
「うん…。」
「どうした?ほらっ!早く来いよ。」
その声に振り返ると、輝翔がタバコをくわえて、両手を広げて微笑んでいた。

