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タイムリミット365
第7章 輝翔の真実

輝翔の腕に抱き締められたまま、私は輝翔の話を聞いていた。


「俺は昔から体が弱くて入院しては、自分の想像を書いていたんだ。物語ってのは、俺の考え一つで色んな形に変わっていく。自分で作り出せる自由な世界がそこに広がっていくんだ。」

「輝翔にとっての自由な世界なんだね。」

「そうだ。ずっといろんな世界を思い書いていた。その内に、自分の作品が評価された。おかげで、今では小説だけで食べていけるようになったよ。」

「すごいよね。輝翔って…。私なんて、全然なのに、輝翔は今を思いのまま生きてるから…。」

「自分の運命には逆らえない。でも与えられた時間は、後悔しないで生きていきたいんだ。」

「輝翔…?」


私を抱き締める輝翔の腕に力がこもった。

何かを紛らわすような力強い輝翔の抱き締めに、私は不安を感じた。


「…どうしたの?」

「羽音、俺は生きたくても生きられないんだ…。だから、あの日死のうとしていたお前を、止めたのかもしれない。」

「…輝翔、どういう事?」

「俺、昔から心臓が悪かったんだけど、体調が悪化して病院に行ったら、余命一年と言われた。」

「………っ!」

「ごめん…あと半年で俺は死ぬ。」


最後の方は消え入りそうな弱々しい声だったのに、私にはハッキリ聞こえた。

輝翔が半年で死ぬ…?

嘘?

だって、こんなに元気なのに。
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