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タイムリミット365
第2章 謎の男

「1年だけだ。その後は、お前の好きにすればいい。」


1年か…。

最後にこの不思議な男と過ごしてみても、面白いかもしれない。

冥土の土産くらいには、なりそうだしね。


「わかった。1年だけアンタの恋人になるわ。でも私、住む所もお金もないんだけど。」

「俺と一緒に住めばいい。1年間、自由に1日過ごせばいい。金なら俺があるからな。」

「ありがとう。私は櫻城羽音。貴方は?」

「俺は、成海輝翔(ナルミキラト)。よろしくな。」


そう言った輝翔の唇が、私の頬にチュッとキスをおとす。

ちょっ…!

油断も隙もないんだから…!


ナルミキラト…。

随分とキラキラネームなのね。

本名なのかしら?

差し出された、手を握ると何だか温かい気持ちになった。

こうして誰かと話すのも、関わるのも久しぶりだな…。

でも、悪くないかも…。

こうして、輝翔と私の奇妙な恋人関係が始まった。

どんな1年になるんだろう…。

そういえば、同棲なんてするのは、初めてだし。


あれだけ死にたかったのが、嘘のように、彼との生活を楽しみにする自分がすでに、少しだけいた。
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