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指先
第6章 小さな反撃
加奈子は鮫島課長に話し、退職願を出した。

「何で今辞めたいの?」

「転職したいと思いまして。」

「今から採用されると思う?難しいわよ。」

「頑張ります。」

「まさか山岸の縁談のこと気にしてるの?」

「…違います。」

「好きな人を私から奪えたんじゃない

今がいい時よ?

そんな時に先に身を引くなんてバカでしょ。」

「山岸さんとは始めから付き合ってませんし

関係もありません。」

「…強がっちゃって。」

あんなに私に鮫島課長は嫉妬してたのに。

今は穏やかな顔をしている。

それとも仕事として引き止めてるだけなの?


「鮫島課長、今 幸せですか?」

「何を急に… 」

キィーと椅子の背もたれが鳴る。

「そうねぇー、離婚せずに済んだし幸せよ。

不倫も夫に何とか見つかってなかったし。

あなたに山岸を取られて良かったのかもしれない。

感謝なんかしたくないけど。」

「私が辞めたほうが課長も楽になるんじゃないですか?」

「はぁ?見くびらないで。

そこまでバカじゃないわよ。

仕事は集中できるタイプなの。」
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