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恋の行方を探してください【完結】
第20章 【二十話】女嫌いな三男
 先ほど渡された『小早川美哉』名義のカードと、今の『宇佐見美哉』のカードの違いがよく分からず、美哉は首を傾げた。

「特別権限を付けろって言っただろうが。前のはついてなかったぞ」
「あのね、つけてたの! つけてたけど、カードに印刷しなかっただけだから!」
「あのぉ……なにが違うんですか?」

 美哉の疑問に、由臣が口を開く前に真那が話し始めた。

「このカードの右肩のところ。マークが入ってるでしょう?」

 言われたところに目を向けると、家紋らしき黒いマークが入っていた。

「ちなみに、このカードの色も特別なのよ。さらにマークがついてるのが、まあ、国民的人気の全国行脚をしていた某健脚爺さまの持っていた印籠みたいなものね」
「……ますます意味が分かりません」
「小早川の家紋である左三つ巴よ。特別権限をつけるとは聞いていたけど、ここまでやっちゃうの? これはないわー」

 はああ、と真那はため息を吐いて、がっくりと肩を落とした。

「さて、用事も済んだし、帰るか」
「はい」
「あ、きのこちゃん」
「なんですか」
「美哉専属になったから、明日から個室に移動ね」
「……は?」
「今の登録班の席だと機密が守れないだろ。部屋は用意してあるし、辞令も出るから、よろしくな」
「はぁ……。やることがさすが小早川さまですねとした言いようがないわ。で、美哉さん専属と言いつつ、あんたもわたしをこれ以上、こき使う気でしょっ?」
「それはあたりまえだろ。きのこちゃんのこと、信頼してるからこそ、だからな」
「……三男にここまで言われても嬉しくないのはなんでだろう」
「俺だからじゃないか?」
「分かってるんだ」

 真那は大きなため息をつくと、美哉の肩をぽんっと叩いた。

「三男の暴走を止められるのは、あなたしかいないわ」
「……そう、ですね」
「任せたわよ、美哉さん!」

 なんだかとんでもないものを任されてしまったのではないかと思ったけれど、美哉は小さくうなずきを返した。
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