この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋の行方を探してください【完結】
第25章 【二十五話】調査開始です! が。
これまでの会話も由臣はずっと前を向いたままだった。前だったら鬱陶しいくらい視線を向けて来ていたのに、この差はなんだろう。
疑問に思ったけれど、あえて聞くのも癪だった美哉は、黙っていた。
「それでは、行くぞ。ジュエリー・コバヤカワは十五階だ」
「はい」
美哉はジャケットのポケットにカードが入っていることを確認して、車を降りようとしたら、川村が声を掛けてきた。
「美哉さま」
「はい」
「わたくしはここでお二人のお帰りをお待ちしております」
「はい、分かりました。すみませんが、お願いします」
美哉が頭を下げて、出ようとしたら、また川村が美哉の名を呼んだ。
「美哉さま」
「はい」
「由臣さまはただ拗ねているだけですから」
「……え?」
「美哉さまが落ち込んでいるようでしたから」
「落ち込んでなんて……」
「由臣さまが幼い頃より専属運転手を務めていますから、由臣さまのことは手を取るように分かるのです」
「…………」
「美哉さまのことを嫌ったり、呆れたりしているわけではありません。ただ、拗ねているだけですから」
「拗ねてるって……」
「拗ねているというより、どう接していいのか悩んでいらっしゃる、と言った方が適切でしょうか。今まで由臣さまは自分が思うままにされていましたから、美哉さまが自分の思うとおりにならなくて、それで拗ねているだけなんですよ」
川村の言葉に、美哉は小さく頭を振った。
疑問に思ったけれど、あえて聞くのも癪だった美哉は、黙っていた。
「それでは、行くぞ。ジュエリー・コバヤカワは十五階だ」
「はい」
美哉はジャケットのポケットにカードが入っていることを確認して、車を降りようとしたら、川村が声を掛けてきた。
「美哉さま」
「はい」
「わたくしはここでお二人のお帰りをお待ちしております」
「はい、分かりました。すみませんが、お願いします」
美哉が頭を下げて、出ようとしたら、また川村が美哉の名を呼んだ。
「美哉さま」
「はい」
「由臣さまはただ拗ねているだけですから」
「……え?」
「美哉さまが落ち込んでいるようでしたから」
「落ち込んでなんて……」
「由臣さまが幼い頃より専属運転手を務めていますから、由臣さまのことは手を取るように分かるのです」
「…………」
「美哉さまのことを嫌ったり、呆れたりしているわけではありません。ただ、拗ねているだけですから」
「拗ねてるって……」
「拗ねているというより、どう接していいのか悩んでいらっしゃる、と言った方が適切でしょうか。今まで由臣さまは自分が思うままにされていましたから、美哉さまが自分の思うとおりにならなくて、それで拗ねているだけなんですよ」
川村の言葉に、美哉は小さく頭を振った。