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恋の行方を探してください【完結】
第28章 【二十八話】『恋の行方』のデザイン
持っていたクロッキー帳が床に落ちて、後ろのあたりのページが開いていた。拾おうと持ったら、そこには全裸の女性と蔦がスケッチされていた。
「依頼者だな」
ちらりと視線を向けただけで由臣は吐き捨てるように言うと、またもや美哉の手首を掴んできた。指先が氷のように冷たい。どこか調子が悪いのだろうかと思ったけれど、由臣に引っ張られてクロッキー帳を閉じることもできないで立ち上がらされた。
「もう一つ残っている指輪を見よう」
「……あ、はい」
クロッキー帳は部長が拾っているのを横目で確認して、まだ見ていない指輪を見ることにした。
由臣が段ボール箱の中から四角いビロードのケースを取りだし、美哉の手のひらに置いてきたので手首を掴まれたまま開ける。
「ああ、しまったな。先に俺から指輪を贈っておけばよかった」
「…………由臣さんからの指輪は要りません」
冷たい声で拒否の言葉を口にした後、美哉は箱を開けた。
「これは……」
こちらはネックレスよりも繊細な造作になっていて、蔦の茎が複雑に指輪の形に絡み合っていて、葉がアクセントのようについていた。
「なかなかよいデザインでしょう」
「ええ、そうですね」
「こちらはネックレスの試作品を作った後に槇が何日も掛けてデザインし直して作ったものです。本人も満足したようで、これを踏まえたネックレスのデザインをし直すみたいな話をされたことを今、思い出しました」
指輪を取り出して手のひらに乗せると、プラスチックで作られているからか、軽かった。
「その蔦の茎は一本ずつ別々になっていて、複雑に組み合わせて作られたものなんです」
「へぇ」
となると、価格も結構高くなるのではないだろうか。
「少し値が張るのがネックですね」
「依頼者だな」
ちらりと視線を向けただけで由臣は吐き捨てるように言うと、またもや美哉の手首を掴んできた。指先が氷のように冷たい。どこか調子が悪いのだろうかと思ったけれど、由臣に引っ張られてクロッキー帳を閉じることもできないで立ち上がらされた。
「もう一つ残っている指輪を見よう」
「……あ、はい」
クロッキー帳は部長が拾っているのを横目で確認して、まだ見ていない指輪を見ることにした。
由臣が段ボール箱の中から四角いビロードのケースを取りだし、美哉の手のひらに置いてきたので手首を掴まれたまま開ける。
「ああ、しまったな。先に俺から指輪を贈っておけばよかった」
「…………由臣さんからの指輪は要りません」
冷たい声で拒否の言葉を口にした後、美哉は箱を開けた。
「これは……」
こちらはネックレスよりも繊細な造作になっていて、蔦の茎が複雑に指輪の形に絡み合っていて、葉がアクセントのようについていた。
「なかなかよいデザインでしょう」
「ええ、そうですね」
「こちらはネックレスの試作品を作った後に槇が何日も掛けてデザインし直して作ったものです。本人も満足したようで、これを踏まえたネックレスのデザインをし直すみたいな話をされたことを今、思い出しました」
指輪を取り出して手のひらに乗せると、プラスチックで作られているからか、軽かった。
「その蔦の茎は一本ずつ別々になっていて、複雑に組み合わせて作られたものなんです」
「へぇ」
となると、価格も結構高くなるのではないだろうか。
「少し値が張るのがネックですね」