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恋の行方を探してください【完結】
第29章 【二十九話】手当たり次第
美哉は由臣に引きずられるようにしてデザイン部を出ると、またあのゲートを通ってロビーまで戻った。
「次は小早川食品に向かう」
「……はい」
川村が待つ地下駐車場に移動して、そのまま小早川食品へと向かうことになったのだが、どんどんと街中を離れていく車に、美哉は不安になった。
「あの、由臣さん」
由臣は怒っているのか、やはり助手席に座って美哉を見ようとしない。
「……なんだ」
だけど、話しかければ返答はあるので、美哉としては由臣がなにを考えているのか分からない。そのことも気になったが、もっと別に気になることがあったので、美哉は口を開いた。
「小早川食品の住所は知っていますけど、どうしてこんなに離れているんですか」
会社概要を見たとき、工場と本社が同じ住所になっていたことを少し不思議に思っていたので美哉は質問した。
「昔は工場と本社は別れていたんだ」
「そうなんですか」
「取り扱う商品が増えてきて、工場が手狭になったから移転したんだが、そのときに本社も工場と同じ敷地に移転したんだ」
「へー、そうだったんですか。でも、どうして本社まで移転したんですか?」
「工場と本社が離れていると、密な連絡が取れないとかで、ミスが続いていたようなんだ。だから一緒にしたと聞いた」
そういう理由で一緒の場所にあるのなら納得だが、それでも、今から向かう場所は車がなければ行きにくい場所にある。電車の最寄り駅からは歩いて二十分くらいはかかる場所だ。
「通うには遠いですね」
「車通勤が多いから、問題ないようだぞ。それに送迎バスも出ている」
「へー」
「後は会社の近くに住んでいる者も多いみたいだし、郊外型のスーパーが周りに多くあるから、住みやすいとは聞いている」
「そうなんですね。……ってあれ? 高木さんってそういえば、どこにお住まいなんでしょうか」
美哉の疑問に、由臣はどこからかノートパソコンを取りだして、なにかを調べ始めた。
「由臣さん」
「なんだ」
「車の中でパソコン使って、酔いませんか?」
「あぁ、それなら大丈夫だ。そういう美哉は、酔ってるのか?」
車に乗り慣れないので、いくら川村の運転が丁寧でも、少し酔っていた。だけど強がりな美哉は、思いっきり首を振った。
「酔ってません!」
「無理するなよ」
「次は小早川食品に向かう」
「……はい」
川村が待つ地下駐車場に移動して、そのまま小早川食品へと向かうことになったのだが、どんどんと街中を離れていく車に、美哉は不安になった。
「あの、由臣さん」
由臣は怒っているのか、やはり助手席に座って美哉を見ようとしない。
「……なんだ」
だけど、話しかければ返答はあるので、美哉としては由臣がなにを考えているのか分からない。そのことも気になったが、もっと別に気になることがあったので、美哉は口を開いた。
「小早川食品の住所は知っていますけど、どうしてこんなに離れているんですか」
会社概要を見たとき、工場と本社が同じ住所になっていたことを少し不思議に思っていたので美哉は質問した。
「昔は工場と本社は別れていたんだ」
「そうなんですか」
「取り扱う商品が増えてきて、工場が手狭になったから移転したんだが、そのときに本社も工場と同じ敷地に移転したんだ」
「へー、そうだったんですか。でも、どうして本社まで移転したんですか?」
「工場と本社が離れていると、密な連絡が取れないとかで、ミスが続いていたようなんだ。だから一緒にしたと聞いた」
そういう理由で一緒の場所にあるのなら納得だが、それでも、今から向かう場所は車がなければ行きにくい場所にある。電車の最寄り駅からは歩いて二十分くらいはかかる場所だ。
「通うには遠いですね」
「車通勤が多いから、問題ないようだぞ。それに送迎バスも出ている」
「へー」
「後は会社の近くに住んでいる者も多いみたいだし、郊外型のスーパーが周りに多くあるから、住みやすいとは聞いている」
「そうなんですね。……ってあれ? 高木さんってそういえば、どこにお住まいなんでしょうか」
美哉の疑問に、由臣はどこからかノートパソコンを取りだして、なにかを調べ始めた。
「由臣さん」
「なんだ」
「車の中でパソコン使って、酔いませんか?」
「あぁ、それなら大丈夫だ。そういう美哉は、酔ってるのか?」
車に乗り慣れないので、いくら川村の運転が丁寧でも、少し酔っていた。だけど強がりな美哉は、思いっきり首を振った。
「酔ってません!」
「無理するなよ」