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恋の行方を探してください【完結】
第30章 【三十話】大量のメール
 由臣は画面に視線を向けたまま続けた。

「今、差出人でソートをかけてみたんだが、同じ女性と多くて五通ぐらいだな。高木小夜はかなりあって……と。なんだ、こいつ」
「どうかしたんですか」
「高木小夜を上回る数のメールを出してきている人物がいる」
「それ、仕事でやりとりしてる人なんじゃないですか?」

 美哉の言葉に、由臣はその人物のメールを確認しているようだった。しばらくして、由臣が口を開いた。

「タイトルはすべて『打ち合わせ』、中身もすべて『次の打ち合わせもしましょう』だな」
「なんですか、それ」
「最初に来たメールを見ると……こっちは具体的に日付と時間と場所が書かれているな」
「それに対して、槇さんは?」
「ちょっと待て。日付で探してみる。……あぁ、最初のメールには返信しているようだが……槇からはそいつにメールしてるのはこの一通だけだな。……メールアドレスを見ると、どうやら小早川食品で働いているようだな」

 由臣は大事なことを口にしたのだが、美哉は別のことに気を取られていて、聞き逃していた。
 山岡から聞いた話と、小夜から聞いた話を総合してみると……。

「槇さんと、そのぉ……かっ、身体の関係のあった女性は……」

 恥ずかしくてつっかえながらそう言った美哉に対して、由臣はぷるぷると震えだした。
 勇気を出して口にしたのに、由臣の態度に美哉はムッと顔をしかめた。すると由臣はさらに肩を震わせて、顔を伏せた。
 美哉は知らなかった。由臣はずっと前を向いていたが、実はバックミラー越しで、美哉のことを見ていたことを。

「川村」

 由臣がなにかを言う前に、川村は察したようで、ウインカーを出すと、車を路肩に止めた。
 由臣はノートパソコンを閉じて、車が止まると同時に助手席から飛び出し、後部座席に飛び乗ると、美哉に抱きついた。
 突然の出来事に驚いたのは、美哉だ。だから思いっきり後部座席に押し倒されてしまった。

「由臣さんっ!」
「あー! やっぱり駄目だ、美哉がかわいらしくて、下半身が疼く!」
「はいっ?」
「美哉、先っぽだけならいいよな?」
「なにを言ってるんですか!」
「一緒に寝て、起きたら横に美哉がいて、寝てるのに犯したくなったから御庭番相手に劣情を晴らそうかと思ったけど、あいつら弱すぎて、駄目すぎる。美哉がかわいすぎるのがいけない」
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